→高橋士郎

空気膜造形  

→風船について(1) →(2)

高橋士郎の『空気膜造形』シリーズは、袋状の薄膜体内に空気を送風して任意の形態を生成する造形技術です。供給する空気と漏洩する空気のエントロピーにより、自在に出現し消滅する彫刻を提案します。

沿革

作品

特徴

   
  出現と消去 現れては消える 
   
仮設的な仕掛けは、その時、その場に応じて随意に空間を装い、陳腐化した日常風景に活気を与え、使用後に取り払われ『ハレとケ』Sacred-profane dichotomy の豊かな時空間を演出します。
空気膜造形は、あたかも都市が服飾ファッションを羽織るように、現代都市空間を豊かに装い、大仕掛けなスペクタクル夢の世界を、何時でも何処でも、日常の空間に実現します。
 
インスタレーション
現代美術の『インスタレーション』 Installation art は、空間を変化・異化させ、場の様相を作品として体験させます。
2001年『インサイトヴィジョン展』

2015年計画「古事記」展
1994年『NHK紅白歌合戦』怪物
消滅 動画 一虚一盈

既存施設との共演
柔らかく軽量ですので、既存建物の壁面や天井を傷つけることなく、取り付けることが出来ます。
従来の展示方法による切ったり、張ったりの現場施行が不要となり、現場での重労働がなくなります。
また、ゴミを一切ださないので、産業廃棄物の問題もありません。
2012年「大地の芸術祭」
2002年計画「バーミヤン」

仮設空間 アトリウムアート ハレとケ
1984年『新しい空気膜ロボットの遊び展』は、土曜と日曜の新宿超高層オフィスビルのロビーを利用して開催されました。
500平方メートルの吹抜空間が、わずか小型トラック1台分の機材、設営時間30分で、遊園地に変貌し、月曜日にはオフィスビルの機能に戻りました。
[EXPO85] [TV show 1990]
巡回訪問 まれびと
2011年「デリリーアートサーカス」開発好明は、小型トラックに空気膜造形20体を詰め込み、阪神大震災があった神戸市から、東北大震災があった陸前高田市まで、連日30日間を移動しながら、毎日、場所を変えて展覧イベントを行いました。
『空創夢園』は、わずか30分で組立が完了し、展示が終わると30分で撤収できます。
「街の空地で荷を解けばたちまち現る無縁界」
「振舞い納めた旅人は跡も残さず消えうせる」
   

巨大な造形
   
スケーリング
万有引力・空気の固有共振数・呼吸空気の酸素量・生物細胞の寸法など、地球上の環境は一定ですので、地球上の生物のは寸法に規定され、寸法は形に規定されます。
拡大縮小
石彫刻のような剛体の造形物は、寸法を2倍に拡大すると、重量は8倍に急増するのに対し、大地で自重を支える面積は4倍にしかなりなせん。
そのために、彫刻をそのまま拡大すると自量のために自己崩壊してしまいます。
空気膜造形の重量は、表面積に比例するので、大きくなる程、相対的に軽くなります。
重力の影響をうけないので、形態の拡大は自由自在です。
江戸のガリバー朝比奈

1991年『50mの彫刻』渋川市ハラ美術館アーク
2005年多摩美術大学70周年

1999年『T and T展』青山スパイラル
2013年『ルーセル展』秋葉原3331


環境造形 
物は、巣・穴・隠れ場・殻など,生息する環境を構築します。生物によって構築された環境は、新たな進化の枠組に波及的影響をおよぼします。
空気膜造形の形成する軟らかい有機的な空間は、日常の都市生活の直角的な建築空間に、
ニッチ niche 生態的地位 生態学的環境
1992年『空気の丘』国営昭和記念公園
   
  空気膜造形の設計  
   
建築分野における空気膜構造の研究が、もっぱら建築強度を得るために、均一な表面張力の形態を追求するのとは反対に、高橋士郎が提案する空気膜造形は、積極的に表面張力を操作して、任意の形態を自由に創作する、新しい造形技術です。
自動生成
従来の、塊から形態を削りだす造形方法や、粘土を盛り付けたり、金属を叩いて変形する造形方法では、量感豊かな立体曲面を創作するのに、大変な労力と熟練技術を必要とします。
空気膜造形は、内部空気の圧縮力と表面膜体の張力がバランスして、量感豊かな立体曲面を自動的に自己形成します。
ゴムの風船は、ゴム膜の弾性によって、皺のない美しい形が自動的に形成します。しかしながら、丈夫で伸びない布製の袋を、きれいな皺のない形にふくらませる為には、特殊な技術が必要となります。
ゆたかな量感

真円の布でできた座布団状の風船をふくらませても真円にはなりません。
三次元立体に膨らむと、布のバイアスが伸びて四角っぽくなります。
また、正方形の座布団状の風船をふくらませても、皺ができてしまいます。
型紙設計
空気膜造形の方法によれば、卓上の縫製作業だけで、巨大な動く造形物を製作することができます。
ただし、膨らませた状態の形体を確かめながら縫製作業を進めることができませんので、仮想モデルによる型紙設計を進めこととなり、空気膜造形の設計理論が不可欠です。
CAD 表層 視覚伝達
空気膜造形の自己形成の原理が明らかになるにつれて、高度なCADが可能になります。
膜面の応力は、一部分が全体の形に影響しあい、一定の形を形成します。一即一切の関係です。

風船幾何学
形態を視覚伝達する為には、物体の表面だけが存在すれば済みます。
コンピューターグラフィックが立体画像を生成するときに、表面反射のデーター計算だけで済ませるので、画像生成した形態の中身は風船のように空っぽであるのは当然のことです 。


大きく膨らんだ空気膜造形を見る時、心が和み楽しくなります。
風船は、アナーキーな気分に人の心を浮遊させる、不思議な力をもっています。
空気膜造形の生成する形態には、豊満な中にも、程良い緊張感があります。
   

充気膜機構 軟らかいロボット  
   
空気膜ロボット
1972年『国際コンピュータアート展』

→「BABOT」とは

1980-1983年『マイコン展』電気通信科学館で、ナイロン布にアクリルコーティングした極薄い素材を縫製加工した、マイコン制御のロボットを多数発表しました。
使用した膜素材は、気密性・柔軟性・収縮性・加工性を併せ持つ極薄いナイロン布です。内部空気圧は15mmAq定格です。
なめらかな動き [YouTube]
布製の風船を所望の動作で確実に変形させる為には、米国特許 No.4765079 高橋士郎発明が必要です。[Google]
この特許は「風船の膜面に余裕部分を付加することによって、膜面に支点を形成し、その支点を中心にして、余裕布と反対側の膜布に固着した紐を小型モータで牽引すると、余裕布が伸びて膜体は支点から屈曲する」基本的な原理です。紐を緩めれば内部圧力で元の形に復帰します。
簡単な慣性制御
この特許を利用すれば、風船を変形する時に、内部圧力の変動を小さく抑えることができるので、小さな力で、素早く、滑らかで、大きな動作を得ることができます。
駆動力として膜体内部の空気圧を利用する簡単な構造ですから、故障が少なく、専門技術者による保守点検が不要です。
なによりも、人体に対して安全な柔らかい機械を作ることができます。
簡単な保守点検
1990年『大阪花博』では、出現し羽ばたいて煙を噴き消滅する一連の動作を、4分毎に自動演出しました。
1992『二子玉川タイムスパーク』では、強風時には自動的に収納し、4年間の屋外連続運転を実現しました。
膜体は、紫外線劣化のため3か月毎に交換します。
安全な機械 
マリオネットが地球引力を利用して、糸操り人形を操作するのと同様に、高橋士郎考案の「バボット」は膜体内部の空気圧で緊張している膜面を、膜面内部に 固着した糸を操作して、ロボットを駆動します。
真空の宇宙空間でも、活用できる機構です。

軟らかい機械
1999年『共生するロボット展』新宿ICC
環境に優しい
現代の物質文明は、地球環境を破壊する勢いです。
従来のブロンズ彫刻作品は、大量の資源とエネルギーを消費して、堅牢な権威を表現する芸術です。
高橋士郎の空気膜造形シリーズが、表面の薄い表皮だけで、存在感を表現するのは、省資源や廃棄物処理の上で大変に有意義な造形技術といえます。
空気膜造形は、環境への負荷が少なく、環境に優しい豊な表現を実現します 。
省資源
2011年皇居外苑で、重量彫刻の楠正成ブロンズ像(高さは4m 重量6.7t)と、軽量彫刻の空気膜造形(高さ4.7m 重量7.5kg)が遭遇対峙しました。
   
  何時でも何処でも
   
1985年『エプコットセンタ』マイアミ
1985年『ダーバン万博』南アフリカ
1987年『ソウル オリンピック プレイヴェント』ソウル市
1991年『劇団デフシアター』全米巡回
1998年『工業見本市』モスクワシ市
1893年『自動車見本市』アフリカ
海外展示
1995年『第43回世界卓球大会開会式』中国天津市
高さ11mの大会マークが30秒間でたちあがり、翼巾6mの鳩が羽撃きながら飛来して、マークの上に止まります。
機材の全ては、空輸しました。
[YouTube]
2006年『国際科学芸術展』中国上海市
2012年『世博園机器展』中国西安市創意館
2012年『瓢箪展』 台湾市美術館
祝祭空間 Gala performance
大阪天神祭の船渡行は、淀川に架かる橋の下を往復14回通過します。
江戸時代には、高さ6mのからくり人形を乗せた船が往復しましたが、現代の鉄橋下は高さ2mしかありません。
1989年から4年間、収縮自在な空気膜ロボットを搭載して、現代のカラクリ船渡行が復興しました。
橋の下を通過する時の撤収時間と復元時間は、わずか2分です。
巡行パレード
1986年『花のパレード』新宿区
1987-1993年『港パレード』横浜市
1994-1996年『光のパレード』中央区銀座
2003年『滝川パレード』滝川市
特注制作
2009年『清志郎ロックフェスティバル』青山斎場
1994年『ジーコさよなら』鹿島スタジアム
映画『ロボッツ』

空中劇
1987年『国際デザイン博』大阪市インテックス
全長50mの龍が舞い降り、煙をはいて上昇します。
[YouTube]
1993年『第44回NHK紅白歌合戦』飛ぶ鳥 [YouTube]
TVスタジオ [YouTube]
1998年『あんりコンサート』横浜アリーナ
バボット館
1996年『バボット劇場』佐賀炎博
1991年『バボットランド』逓信総合博物館 
1987年『空気膜ロボット展』銀座月光荘ギャラリ
幻視的空間
現れたり消えたりする、千夜一夜物語のアラジンの魔法のランプ、枯れ木に花を咲かせる花咲爺さんの物語など、物語の世界で、事物は自由自在に出現と消去を繰り返します。
日本においては、青森のねぷた、鯉のぼり、松飾り、お盆の岐阜提灯など、四季おりおりの仮設的な造形が考案されてきました。
幻覚、仮装、象徴元型
標準在庫
バボット工房では、常時、300機種2000体のバボットを在庫しています。
空気膜造形は、いつでも、どこでも、だれにでも簡単に取り扱える、環境にやさしい造形技術です。
空気膜造形は梱包箱に収納されてどこにでも宅配便されますので、現場での設営撤収が簡単です。